英語を学ぶのに、英単語を覚えることは絶対に必要です。アルファベットは大文字と小文字を合わせて52字ですので、比較的簡単に覚えることができます。しかし、英単語は数も多いし覚えるのは大変、という人は多いのではないでしょうか。ここでは、そんな英語初心者に向けて、効率よく正確に英単語を覚える方法を、現役塾講師からのアドバイスをお伝えしたいと思います。
「たくさん書いて覚える」は間違い!
このように言うと、マジメな生徒はたくさん時間をかけて勉強してきます。練習してきたノートを見せてもらうと、英単語がぎっしり。しかし、いざテストになると、なかなか満点解答とはなりません。生徒は、こんなに頑張ったのに、と残念がります。
このようなケースはいわゆる学力の高い生徒から低い生徒まで、よくあることです。
これは、小さい頃から慣れ親しんだ暗記法が、英単語には不向きだということを知らないといけません。
たくさん書いている=しっかり覚えている
と思い込んでいるのです
実例: Practiceを覚えよう!
例えば、「practice」という単語を覚えようとするとします。中学1年生で学ぶ、「練習する」という意味の英単語ですよね。
「よし、それじゃあ書こう。p、r、a、c、t、i、c、e。難しいな。10回書いたら覚えられるかな。 p、r、a、c、t、i、c、e。 p、r、a、c、t、i、c、e……よし、10回書いた。次は……」
これがよくやる間違った暗記法です。
ありがちな間違いと、古き良き正攻法
これはほとんどの場合、身についていません。これは20回なら、とか30回なら、という問題ではありません。そもそも、このやり方が問題なのです。問題点は大きくわけて三つ。順番に説明していきます。
問題点(1) 写しているだけ
一つ目です。「practice」を書くとき、どのように書いていますか。一字一字、見ながら書いていませんか。最初は教材を見て、次からは1つ前に自分が書いたものを見て、書いていませんか。いわゆる、「写している」状態になっていませんか。これが一番の問題です。
写す作業で完結しているのです。だから、たくさん書いてもなかなか身につかない上、一度間違って書くと、間違えたまま何回も書くことになります。間違えた単語をたくさん書くくらいなら、やらない方がまだ良い、ということになってしまいますよね。
「形を覚える」方法としては良い方法
この暗記法はいわゆる「形を覚える」方法に適しています。ひらがなや漢字を覚えるとき、そうやって見ながら書く、という方法をやりましたよね。ひらがなや漢字は、バランスよく、マス目に入るよう、練習しなければなりません。だから、見ながら何回も書いて覚える、という練習は必要になってきます。
形の練習と英語は違う
日本人の多くがこの暗記方法に小さい頃から慣れ親しんでいます。だから、英単語でも……という気持ちはよくわかります。しかし、英単語は「形を覚える」のでしょうか。英語の場合、形を覚えるのはアルファベットで終わりです。英単語、特にスペルは「順番を覚える」のです。それに適した暗記方法は後述します。ここでは、「写している」状態で何回も書くのは、効果が薄い、と理解してください。
問題点(2)音とつながらない
二つ目です。この暗記方法では、音と繋がっていません。一字一字を確認しながら書いているので、発音やアクセントも正確にわかりません。「p、r、a、c、t、i、c、e」を、「プ、ラ、ク、ティ、ス」と言いながら書けば比較的よくはなりますが、それでもアクセントにはつながらないですし、「プラクティスのスってcだったかな? sだったかな?」みたいなことも起こります。「写している」とその時は考えていないことが多いので、覚える量が増えるとだんだん対応できなくなっていってしまいます。
将来的に、模擬試験の発音問題やリスニングテストで問われたり、英会話が必要になったりもします。正確な音を全て理解するのは簡単ではありませんが、自己流の発音で済まさないようにするのが大切です。
問題点(3)英語と日本語が結びつかない
三つ目です。この方法では、「practice」=「練習する」が結びついてない、ということになりかねません。ノートいっぱいに正しく書いていたとしても、「写している」状態だと、「practice」を「practice」と書くことに注視しているため、英語と日本語の結びつきが弱くなります。
れんしゅうと言いつつ「practice」とは写しづらい
漢字の場合は、同じ「写している」のでも、書きながら読みと一致させることはできます。「練習」という漢字を書きながら、「れんしゅう」と言えば、「練習」=「れんしゅう」という結びつきができますよね。
しかし英単語の場合、書きながら意味を言うことはなかなか大変です。「p、r、a、c、t、i、c、e」と書きながら、「れんしゅうする」と言うのは難しいですよね。
実際にテストに出てくるのは、「practice」を日本語にするか、「練習する」を英語にするか、です。ここの結びつきを強くしなければ、英単語を覚えたことになりません。
やったぞという達成感が裏目
やりがちな間違った暗記方法の説明をしましたが、いかがだったでしょうか。中学、高校英語を経験した人は思い当たる節があったのではないでしょうか。この暗記方法は、たくさん書くことで、覚えた気になってしまい、やるだけで満足してしまうのも怖い所です。
なぜこのことに詳しく触れたかと言うと、有数の進学校なのに英単語を何回も書く、という宿題が出たのを知ったからです。これには流石に目を疑いました。何のために出しているのでしょうか。
効果が0ではないが100には近くない
もちろん、このやり方でもきっちりできる人もいますし、そうやって乗り切った人もいるでしょう。しかし、効率は悪いということは言えます。
つまり覚えるという大切なことがすっかり欠落しているのです
次の章では、どうすれば効率よく覚えることができるか、を具体的に紹介しようと思います。
「順番を覚える」には?
スペルも意味も覚える方法
ただ何回も書くのは効率が悪い、という説明はしました。それでは、どのようにすればお効率よく覚えられるでしょうか。
結論から言います。
「practice」を例にして方法を分析
例えば、「practice」を覚えようとします。この時に見えている情報は、「practice」という文字列ではありません。「練習する」という日本語の意味です。こうして、「練習する」=「プラクティス」をまず定着させましょう。それと同時に、「プラクティス」=「practice」も覚えていきます。
スペルを覚えるのに、まず何回か書いて……というのは、間違いではありません。しかし、「p、r、a、c、t、i、c、e」のように、1字1字確認しながら書くのではありません。
「practice」という単語の最初の「p」を書き始めたら、元のスペルを再び見ることなく、最後の「e」まで書ききるようにしましょう。1回で書ききろうとすると、まずは順番を覚えようとしますよね。その時に頭を使います。この行為が大切なのです。
写すことではなく、覚えようと、記憶しようとすることが大切
しっかり覚える→くり返し
最初のうちは、覚えきれずに間違えて書くこともあるでしょう。その時はしっかり直せば良いのです。間違えたことが印象に残ればしめたものです。
次からはその単語を書くときに気をつけて書くことになると思います。これだけで、覚えられるスピードがぐっと上がります。途中で手を止めて、元のスペルをチラ見して、あたかもわかっていたようにすると、結局覚えるのに時間がかかります。ここで楽をすると後々たたってきますので、しっかり取り組むようにしましょう。
このような練習をするために、おススメの暗記方法が二つあります。どちらも教材作りとしては昔からある方法です。順に説明していきます。
おすすめ方法(1) 単語カード
一つ目は、単語カードです。今は100均に行けば様々な大きさや枚数の単語カードが売っています。特にこれが良い、というものはありません。好きなもの、使いやすそうなものを使ってください。
作り方は簡単。
これと似た効果をつくるために当サイトは作られています
おすすめ方法(2) ルーズリーフ
二つ目は、ルーズリーフです。もちろん、ノートでも構いません。
順番は固定されているので、順番だけで覚えてしまうこともありますが、毎回最初からやるのではなく、一つ飛ばしでやったり、前からではなく後ろからやったり、と工夫すれば大分そのリスクは低くなります。
間違った単語に印をつけることによって、苦手なものを繰り返し練習することもできます。
注意が必要
どちらも安く、そして簡単に有効な教材が作れます。注意すべき点は、最初に作るときに間違えて書かないことです。前章で触れたように、間違えたまま練習するのなら、やらない方が良くなってしまいます。
このような教材を使って、繰り返し練習してください。毎回、紙に書く必要もありません。イメージしたり、手のひらに指で書いてみたりしてください。そうやって負担を少なく、繰り返し練習することで、どんどん覚えられるはずです。そして、覚えたと思ったら、テスト形式で本当に英単語を暗記しているかを確認します。中学の場合、日本語を英語にすることが主になると思います。
単語を覚える方法はこの記事でしっかりまとめました
この時、今まで使っていた教材を、友達や家族に渡して、問題をランダムに口頭で出してもらうと更に良いでしょう。やり慣れた教材から目を離すことによって、雰囲気だけで覚えている、ということもなくなります。
今までは何となく済ませてしまっていた問題も、きっちり正解・不正解が出るので、良い確認になります。これで全問正解すれば、もうほぼ完成したのも同然です。その時、どれだけ書いたか確認してみてください。ただ「写して書く」よりも、書く回数は圧倒的に少ないのに、正確に覚えていることでしょう。
テスト形式の利点
このテスト形式は、勉強するやる気を引き出すことにもつながると考えられます。普段のテストだと、どんな問題が出るかはっきりとはわからないため、なかなか満点は難しいです。しかし、この英単語のテストは問題も答えも与えられている状態で、やったらやっただけ成果が返ってきます。テストで満点取ると嬉しいですよね。是非とも挑戦して、満点を取ってください。
更に上を目指すには
発音やアクセントまで正確に定着させることを目指します。
これは、基本的に自分だけではどうにもなりません
このページに詳しくまとめていますのでじっくり読んでみてください
何が覚える近道なのかをまず知る
英単語を覚える方法を書きましたが、いかがだったでしょうか。ポイントは「写して書かない」「隠して書く」「テスト形式で確認する」そして、余裕があれば、「発音・アクセントに慣れておく」ことです。
覚える努力を払う点では楽ではありません。でもそこに近づく効果的な方法やコツはあります。それをまず検討してから努力を傾けるのはいかがですか?
普通は、一気にたくさんの英単語を覚えることはできませんので、地道な努力が必要になるかと思います。なるべく効率の良い方法で、しっかり定着させることを目標にしましょう。
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